変態とノーマルとセックス

最近では気軽に「私変態なんです」「俺変態だもん」とか言いますよね。時代変化で、変態という言葉自体が市民権を得たのかも知れませんが、明らかに乱用されています。

皆さんが思う変態って、恐らくアナルセックスやSMプレイ、また複数人てのセックスを楽しむ人達や同性愛、コスプレ等を楽しむ人達を、そう呼ぶ事が多い様です。自分はとてもこれに違和感を感じます。

変態って？

変態性欲（へんたいせいよく、英語: Sexual Perversion）とは、人間の性的行動や性欲のありようにおいて、正常と見なされない種類の嗜好を指す。

Wikipediaより

変態とは、正常とみなされない嗜好だそうです。これはとても曖昧な表現ですね。曖昧さは、正常という表現が使われているからです。曖昧さにメスを入れて、正常とかノーマルのセックスが何なのかを考えてみましょう。

ノーマルって？

こう問われて、簡単に出てきそうな回答は、チンポをマンコに入れて射精することとか、男女の生殖活動と言われそうですが、念の為現在の認識も調べてみましょう。

セックス（せっくす）生物学的、身体的な意味での性別。 性行為を指す俗称。(陰茎を膣に挿入し、射精することを指すときと性行為自体を指すときがある)

Wikipediaより

性行為（せいこうい）

性欲に基づいた行為。性器や肛門の接触や性交などといった行為。

ヒトが性的欲求に触発され、複数で行う一連の行為である。快楽や愛情表現を目的として行われることも多く、必ずしも生殖に結びつかない。

主に一組（カップル）の男女が性交（交尾）を行うことであるが、複数人で性行為を行う乱交などもその一種である。

人はそれぞれ様々な性的指向（同性愛、フェチズムなど）を持っており、「性行為」が指す範囲は幅広い。

Wikipediaより

セックスも性行為も同義語として調べてみましたが、これを見て「おや？」と思う方も少なくないと思います。

肛門や複数、はたまた同性愛やフェティシズムもセックスの一部だとあります。これって俗には、変態とかマイノリティと思われてませんか？具体的にな名称は出ていませんでしたが、SM等やイメプ等もフェティシズムの範疇だと思われます。

フェティシズム（ふぇてぃしずむ）通常よりも強く性的興奮を引き起こす特定の物や状態を表す言葉として用いられる。

①女性の足、脚などの特定部分への偏愛

②服装、外見への偏愛

③道具への偏愛

④状態への偏愛

Wikipediaより

先にに挙げた変態行為だと思っている事は、大昔から繰り返されてきたセックスそのものであり、正常さやノーマルをさほど逸脱するものではないのです。私達が使っている変態という言葉は、性認識の差を大袈裟に言っているだけなのです。

セックスの幅広い解釈が、全く世の中に浸透していません。どうやら自分の違和感はこの辺から来ているみたいです。

セックス自体の捉え方が違うのなら、当然ノーマルや変態についても解釈は違います。先ずはノーマルの認識を考えてみます。

ノーマルの認識

私達のセックスの解釈は、実に生々しく謎のベールに包まれたかのような、魅惑の言葉として私達は捉えています。その証拠に、日常会話で「セックス」と大きな声で使ったりはしません。セックスという単語は小声でコソコソ話すものになっています。

そもそもそ日本では、セックスについて何も教育がなく、文化的にも性に対して閉塞的です。したがって性的な経験のない人からすれば、セックスは秘密の行為であり、正に魅惑のベールに包まれた行為になるのは当たり前です。

若い方はセックスについて、何が普通で何か？何が普通じゃないのか？を、誰からも教わらないので全く分かりません、誰かに聞くのも恥ずかしく、一人一人手探りでセックスを学んでいるのが現在です。

「大人になれば分かる」等と言われた事もありますが、いざ大人になってセックスが何なのか分かっているのでしょうか？恐らく未だに分からない方の方が多いのではないかと思います。

現在のセックスがAV等の性的なコンテンツ影響を強く受けている話は他でもしていますが、皆さん自分に置き換えると、誰も自分のセックスが間違ってるとは思っていないのではないでしょうか？間違いだと分かっていても、他人事だと思い改善しようとはしていません。変わろうとしないのは、この間違った状態が常識化しているからに他ありません。

男性の興奮を煽る事に主眼で作られた、現在の性的コンテンツは、男性に販売される目的で制作される物がほとんどです。それを見てセックスはこうなんだ！と思い込むのが間違いなのは、他の記事でも指摘している通りです。

私達が持っている、ノーマルセックスの認識は既にそれらの性的コンテンツの影響を受けています。「子供のセックス」が正にそれに当たり、男性快感を優先したセックスが当たり前だという、誤ったノーマルセックス認識に染まりきっているのです。

しかも同じような間違いをしているの方が大勢居るので、その間違いに気が付きません。皆で同じ様な性的コンテンツを見て、同じような間違った認識を集団獲得し、皆と同じだから間違っていないと思い込んでいます。

もし男性快感優先の「子供のセックス」がノーマルだとするなら、男性は確実に女性を性的に不幸にしています。本来与えられる性の喜びを、男性が台無しにしているのです。この事に気付いて欲しいです。

社会が生み出す変態

日本では、セックスに閉鎖的な事は既にお分かりだと思います。性的な教育は、妊娠や出産に関する生殖的な事に留まっています。

法律では16歳で婚姻出来るのに、18歳以下とセックスすると犯罪になる。そのくせ18歳で未経験だと、人格的に問題ありとか言います。セックスの認識に関しては、全く整合性がなく行き当たりばったりのデタラメなんです。

日本は性の閉塞性から、セックスの機会は先進国でも最低レベルです。少子化や婚姻率や離婚率などを問題だと言いますが、改善する策をいくら打っても、本質的な所へは何もしていないので、制度やお金で補助をしたところで、焼け石に水です。表面的な事だけでは何も変わりません。

またセックスの機会が少ない為、一向にセックスが上手くなりません。回数の問題でもありませんが、機会が少ないと欲求が溜まり過ぎて、セックスのタイミングで自身の欲求の吐き出しに大きく偏りがちです。

こうした自己欲求が優先になると、一方的なセックスになりやすく、結果的に性的な満足度を下げてしまいます。

セックスの機会が全く無ければ、溜まった欲求の矛先は必ず迷子になります。こうした吐き出し先のない欲求が、個々の性的嗜好に歪みを作り出し、一般の人の理解を超える変態性へと繋がって行くのです。

一般的な人の理解を超えるとは、凡そ性的なものでは無いものに性欲を感じたり、極度のフェティシズムになったり、性の対象が狂ったりします。こういった方々は、現代における真性の変態と言えます。

セックスがままならない事で、自らの欲求の捌け口を探し続け偏愛が強くなり、一般的な理解を超える領域まで行ってしまうのです。こうした偏愛による性犯罪も多く、社会問題の原因にもなっています。

変態という言葉を、軽く社交的に使うのは、自分はしません。悩んでいる方も多数いらっしゃいます。また、そういった事に巻き込まれる被害者も居ます。

真の変態は、社会の歪みが産んだものかも知れません。

微力ですが、もっと良いセックスが繰り広げられる世の中になるように、私自身ももっと努力しなければと思います。